長さ80メートルの高速双胴船の解析―高速軽量船舶のDet-Norske Veritas'基準に基づく |
まえがき |
ここで、Strand7を利用して、高速軽量船舶(HSLC)のDet-Norske Veritas'基準に基づいた長さ80mの高速双胴船の強度解析の実例を紹介します。 |
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Det Norske Veritas協会の分類基準 AS (DNV)に基づいて、長さ50mを越えた高速双胴船の三次元強度解析が行われます。全長80.1mの船体では、Ruston 16RK 270ディーゼルエンジン四つを装備されており、いずれも時速5、500kW、四つのKaMeWa 80噴射装置より構成される推進システムが備え付けられます。通常速度は47ノット(海里/時間)だが、全速力で走るとなんと53ノットに達します。 正甲板は89の船室から構成される一方、船尾甲板はバスや高速貨物列車のような巨大交通工具を載せることができます。 第二の甲板には、乗客400名が収納できる基本設備を完備されています。 |
概要解析では、DNV のHSLC荷重ケースを受ける場合の船体構造挙動を着目しています。 |
下図に示した右舷の有限要素法モデルには、船体の輪郭や一般図から構造設計図細部までほぼ再現され、Strand7のミラー機能によって全体モデルが作成できます。 |
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ゴム台に置かれる巨大な船体を解析の対象外だが、これらの反力荷重を考慮されました。 |
解析では、船体部分は、輪郭、甲板、舷牆、横隔壁、フレームや待合室などを含み、4節点シェル要素で、欄干の手すり、補強材や支柱などは梁要素を用いてモデル化されました。 |
船体輪郭部分の曲げ、せん断及びねじり効果を解析に全面的に反映されるため、要素のサイズ、種類や数量などを厳選されたうえで、フレーム及び縦方向補強材の間隔に基づいて要素をグレーデイングされました。 |
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モデルの節点連結線は、船体輪郭と舷牆上の補強材位置が完全に一致し、さらに、慣性修正機能によってこれらの補強材の質量をプレート縁につながった梁要素にまとめました。 |
メッシュを配置する際、どちら側の補強材の質量も節点連結線にまとめできるように設計されました。なお、補強材要素面積に隣接する要素の面積は慣性修正機能に含まれました。 |
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データ集計 |
節点 | : | 10179 |
梁 | : | 8625 |
プレート | : | 12781 |
方程式数 | : | 60990 |
解析基本的に、HSLC荷重より面内縦方向の曲げのみ生じます。 線形静的解析の場合、境界条件が足りなければ剛体運動を発生するから、並行と回転を防ぐため、モデルの面内拘束が必要となります。 しかし、さまざまな仮定の基に強制的に拘束を加えると、船体の自然屈曲状態に影響されます。 |
剛体運動を防ぐため、バネ類の要素を用いる方法がよく使われます。これらの要素の利用によって、モデルを十分に拘束されながら、曲げ平面の屈曲自由度も確保されます。 ただし、バネ要素には荷重がかかれません。 |
一方、時刻歴解析の場合、釣合った力以外、剛体運動を制限する自由度条件がありません。従って、上記の条件が考えなくても船体の屈曲状態をモデル化することができます。 |
ここに、レーリー減衰を考慮したNewmark―β法より解を求めます。まず、固有振動数解析により二次と三次固有振動数を予測します。そして、振動数の上限と下限に対応する減衰比を限界減衰(例えば、z = 0.999)に近い値に設定します。 |
傾斜モーメント |
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舷牆の上部断面における縦方向応力及び座屈能力の許容値を決定する荷重です。よって、舷牆の上部プレート要素に大きな縦方向圧縮応力と、キール板には大きな引張応力が生じさせます。 |
曲げモーメント |
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船殻の下部断面における縦方向応力及び座屈能力許容値を決定する荷重です。よって、キール板に縦方向圧縮応力と、舷牆の上部プレート要素には引張応力が生じさせます。 |
横切る分割力 |
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船体、側舷と隔壁の間にある構造の座屈能力許容値のほか、横切る/せん断応力の許容値を決定する荷重です。 よって、中央甲板に横方向圧縮応力と、ウェット甲板には引張応力が生じさせます。なお、横隔壁にも大きなせん断応力を発生するかもしれません。 |
縦揺れモーメント |
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横断構造においてそれぞれのプレートパネル、補強材や梁などの応力および座屈能力許容値を決定する荷重です。 |
横方向の破壊 |
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下側部フレームと横隔壁の横方向応力および座屈能力許容値を決定する荷重です。 |
組合せ荷重ケース
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解析結果それぞれのプレートパネル、補強材や桁などの応力および座屈能力許容値を基に、船体全体の強度解析を行われました。 |
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解析結果より著しい変形、全体応力度や局部応力集中などを判断することができます。 制御点の鉛直変位と時間ステップの関係曲線を計算しグラフ化すると、時刻歴応答解析の解は定常解がどうかが分かります。 |
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