Strand7概要: ソルバー−応答スぺクトル解析

応答スベクトル解析

応答スベクトル法は、構造物に加えた任意外乱に対する応答を求める方法です。

任意外乱

Strand7取り扱う可能なスベクトルは、応答スぺクトルとパワー応答スぺクトル密度(PSD)の2種類で、いずれも振動数または周期の関数としたスぺクトル曲線で与えます。

任意外乱の種類

任意外乱は地盤上の地震動および一般動荷重の2種類に分けられます。

地盤上の地震動は、並行外力として地盤より各自由度方向に同じ強さで作用されたものを、全体座標系X−Y−Z軸の任意方向より、加速度、速度あるいは変位をパラメータとして定義されます。ある地震または設計基準に規定される平均設計応答スぺクトルはよく用いられる代表的な入力スぺクトルです。

構造物に加える任意外乱を模擬する荷重スぺクトルとして、風荷重、波浪荷重及び機械の振動を含まれます。その他、節点外力、要素荷重、自重及び熱荷重もこの種の荷重として入力できます。なお、荷重ケースはいくつでも定義できます。

応答スベクトル法はモード重合法に基づき、解析手順は下記のとおりです。

  • 地震動荷重が作用される場合、要素質量マトリクスを定めますが、さもなければ、荷重ベクトルを計算します。なお、質量マトリクスの種類は固有振動数解析に用いるタイプによります。同様、オプションの設定によれば、要素の等価荷重ベクトルの種類も変えられます。
  • 固有振動数解析で得られた振動モードベクトルを用いるため、振動モードごとのモーダル外乱係数を計算します。地震荷重でしたら、質量刺激係数を定める必要があります。
  • 既存スベクトルテーブルより、振動数に対応するモードごとのスベクトル成分を決めます。
  • レーリー減衰を用いる場合には、モーダル減衰を算出します。
  • モーダル変位値を計算します。
  • CQC法 (Complete Quadratic Combination) 及びSRSS法(2乗和平方) を利用して応答の最大値を略算します。

注:

  1. 応答スベクトル法をモード重合法に基づいたため、振動モードどう選択するか解析結果の精度を左右します。
  2. 応答スベクトル解析では、強制変位及び収縮リンクの常数項を省略されます。
  3. 剛性に対する材料温度の依存性を固有振動数解析に直接考慮されるため、ここで特に考えなくて良い。
  4. 応答スベクトル解析の解析結果は節点変位、要素応力/ひずみ、拘束された節点の反力あるいは拘束されない節点の弾性力最大値の包絡値の形で与えられます。解析に考慮したすべてのモードの応答最大値の組合せにより応答の最大値を確定できます。同様に、これらの応答最大値の中で、各モードを占める割合も得られます。
  5. ここで、モード重合法あるいはモーダルアナリシス法はあくまで実用上の汎用近似法であることを認識しておくのが極めて重要で、組合せ結果が常に得られないかもしれません。しかし、一般に、先ほど述べた方法(CQC及びSRSS) を利用すれば、よい近似結果が略算できます。
  6. 応答の最大値は以上で述べた方法によって計算されたため、解析結果は下記の特徴を有します。

    まず、すべての計算結果は正の値を有します。解析結果を分かりやすいため、自動符号オプションによって、重要モードの符号を自動的に組合せ結果に与えられ、その結果変形後もっともらしい形状を見事に表示されます。

    次に、各構造部材の応答計算値はそれぞれ異なる時刻に対応しているため、部材や節点などの釣合方程式を確認したり、節点のあいだの任意点のモーメント、せん断力および変形値を直接計算したりすることができません。解析結果を確認する場合、これらの点の解析結果を予め記憶しておかなければなりません。